そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~
「…取れました」

その言葉に何とか振り返ると、棚と誠に挟まれて、恥ずかしさのあまり、体が硬直し、それでいて、顔は赤く熱い…

「…矢沢さんて、まつ毛長いですね。付けまつ毛ではなさそうだ」

「…え、はい。長くて、邪魔なくらいですよ」

「…瞳も、とても澄んでいて綺麗だ」

「…」

突然の誠の甘い言葉に、返す言葉が見つからない。

…⁈

その時、突然誠が私の腰に腕を回した。

…どうしよう。

これは、言い寄られてるんだよね。

…見つめあったまま、2人は動かない。

…ガタ。

そんなオフィスの中に、誰かが入ってきた。

「…仕事中、じゃないみたいですね」

「どうしたんですか、大谷君」

私の腰に腕を回したまま、誠が言う。

私はどうしていいかわからず、俯いた。

「…そいつを忘れました」

…ぇ?
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