そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~
・・・結局、今日も残業する事になってしまった。

一人、また一人と帰っていく。


「すみません、この後、接待がありまして、

矢沢さん、1人で大丈夫ですか?」

心配そうに、私の顔を見た誠。


「大丈夫です。これだけ済ませたら、早めに帰宅しますから。

部長も接待大変だと思いますけど、お仕事頑張ってください」

そう言って微笑めば、誠も微笑み、頷いた。


「…矢沢さん」


「・・・え?」

行ったと思っていた誠が、私の声をかけてきた。

私は驚いて入口に目を向ける。


「この間は、急に言い寄ったりしてすみませんでした」

「・・・・」

突然の謝罪に、どう返していいかわからず、困惑する。


「でも」

「・・・」


「あの時言った言葉に、嘘偽りはありませんから。

矢沢さんが、彼女になってくれたらって、本気で思ってますから・・・

考えてみてください」


そう言うと、誠は、オフィスを後にした。
< 39 / 114 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop