そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~
嬉しさのあまり、握る手に力が入った。

「怖いのか?」

「へ?・・・あ、はい」

咄嗟にウソをつく。

でも私を気にかけてくれたのか、修も握る手に力を込めてくれた。


…厚意に甘えて、好きなんて言えたら。

修の背中を見ながらそんな事を思う。

・・・でも言って、ダメだったら、もうこうやって傍にいられない。

…どちらにせよ、何時までも、修の家にお邪魔しているわけにはいかない。


本当は、引っ越すくらいのお金はある。

バイトでお金は沢山貯めているから。

でも、もう少しだけ、修の傍にいたい。

…我が儘かもしれないけど。



「矢沢」

「…なんですか?」


「この際、荷物、全部うちに運べば?」

「・・・ぇ?!」

突然の提案に、足を止めてしまった。

…そんなことしたら、修の傍を離れられなくなっちゃう。

…出てけって言われても、出ていきたくなくなっちゃう。



「いちいち、足りない荷物取りに行くのも面倒、だろ?」

ただの厚意であっても、

…期待してしまう。

…私の事、好きになってくれたのかなって。
< 43 / 114 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop