そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~

⚫︎好きと言う時

あの日以来、アイツは現れなかった。

私は安堵すると共に、やっぱり、そろそろ本格的に、

引っ越しを考えていた。

・・・修のとる行動は、どれもただの厚意。

決して、好意ではないと言う事。


もし、好きでいてくれるなら、きっと言葉にしてくれるはずだ。


そう思えば、何時までもこのマンションにいるわけにはいかない。

・・・とある休日。

私は数軒の不動産会社を見て回っていた。

…セキュリテイーがしっかりしているところは、やはり家賃もいい値だ。

引っ越すお金はあっても、毎月の家賃を考えるとやはり何かと厳しい。

私は溜息をつきながら、不動産会社を出た。


「…矢沢?」

「・・・え?」

突然声をかけられ、私はそちらに視線を向けた。

すると、そこには彬が立っていた。


「不動産会社に何の用?」

そう言いながら近づいてくる。


「ちょっと引っ越しでもしようかなって思い立って・・・

でも、どこも家賃が高いですよね」

そう言って苦笑い。


「澤田さんは、こんな所で何してたんですか?」

今度は私が質問する番。
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