そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~
ラッキーな事に、いい物件が3つもあった。

セキュリテイーもそれなりにされていて、

しかも家賃も手ごろ。それくらいなら、私の給料でも払えそうだった。


物件を見て回り、抑えておくからゆっくり考えるよう言われ、

帰るころにはすっかり暗くなっていた。

・・・いい会社を紹介してくれた上に、晩御飯までご馳走になってしまった。

…極めつけは、家まで送ってくれて。

家と言っても、あのアパートなのだけど。

修のマンションに送ってもらうわけにもいかない。


「今日は本当にありがとうございました。

凄く助かりました、夕飯までごちそうしてもらって」


「ん?別に、大したことしてないから、気にするな。

…じゃあ、また明日な」

そう言うと、彬は車を発進させた。

・・・彬の車が見えなくなり、私はアパートにはいる事無く、

修のマンションに帰る。

街灯も少なく、夜道は怖い。

私は足早に歩いていく。

そんな時、電話が鳴った。

着信は、修からだった。


「今どこ?」

「大谷さんのマンションにもうすぐ着きそうです」

「心配だから、降りて行く」

「え、あの、大谷・・・・」

切られてしまった。
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