そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~
「…家に帰ろうと思って」

小さな声で呟けば、修の顔が一瞬だけ歪んだ。

その顔を見て私の顔も歪む。

…きっと、相当怒ってるよね。


「…来い」

「・・・ぁ」

動けないでいる私を、修は手首をガシッと掴むと、

無理やり中に連れて行き、ソファーに座らせた。


「説明してもらおうか、全部?」

…そう言ってる顔は相当怒っている。


「…怒ってますよね」

「当たり前だ」

「・・・・」

「黙ってても、何もならないさっさと言え」


一気にまくしたてられ、私は深呼吸して、事の次第を説明した。


「…そんなにここにいたくなかったのか?」

「まさか!そんなことありませ・・・」

そこまで言って、私は言葉を失った。

…だって、修の顔が、凄く切なそうで。


「家を探しに行くならそう言えばよかったんだ。

…澤田なんかに頼みやがって」


「・・・すみません」
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