そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~
固まる私を微笑し、修は自分のオフィスに戻っていった。

…この人って、私で遊ぶことが生きがいなのかしら?

と、去っていく修の背中を見ながらそう思った。

…それから数日後。

初めての企画が無事に終わった。

無事に終わり過ぎて、第2企画部の部長も、大久保さんも、あまり面白くなかったみたいだが。
私はやっと重荷から解放される安堵感で一杯だった。

その日の夕方。
私と、第2企画部の企画参加者たちで、打ち上げに行く事に。

修は自分の仕事を終わらせてから来るとの事で、遅れる事に。
でも幸い、大久保さんも別件で仕事の為、今回の打ち上げには来ていないし、

(修に殴られて以来、私には極力近寄らないんだけど)

今夜は大いに楽しめそうだ。

私の右横には和泉さん、その隣には鈴木さん。

私の左横には坂下君が鎮座した。

「企画成功おめでとうございます、今夜は大いに祝いましょう」
今回の幹事は坂下君。

その坂下君の号令で、打ち上げがスタートした。

坂下君以外は私より先輩ばかり。
でも、どの人も私をねぎらい、楽しんでくれていた。

『また合同で企画したいね』

『今度は他のイケメンたちも一緒に』

なんて、私がいる企画部の先輩たちは、やっぱりイケメン揃いと言う事もあって、人気だ。
そこに籍を置く私を羨ましいと言う女子の先輩たちが多かった。


「・・・でも、他の部の女の子たち、矢沢苛めが流行ってるんだって?」

楽しい打ち上げの中、和泉さんが私に言った。
私は困ったように笑って頷いて見せる。
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