そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~
「澤田に気持ちが傾いた?」
「ほ、ほんらわれ(そんなわけ)」
なんとかその言葉を口にすると、そっと手を離してくれた。

痛む両頬に両手を添えると、その上から、大谷さんの両手が重なった。

「…悪い、やり過ぎた」
「…いえ…私も、いけなかったし」

「…心配で、どうにかなりそうだ」
「…大谷、さん?」

「誰にでも優しくて、誰にでも笑顔が絶えない。…それがお前の良い所なんだけど、その分勘違いする男もいる。

…いつか、俺から離れて行くんじゃないかって」

…そんなこと考えてたんだ。
そんなの、私の方がもっと心配なのに。

周りの女子社員達が、大谷さんに憧れ、大谷さんの彼女になりたいと切磋琢磨してるとこ見てたら、私なんて…

「私には、大谷さんしか見えません…
大谷さんしか、好きじゃありません…
どんな時も、大谷さんの事で、頭が一杯です」

そう言って、微笑んだ。
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