そっと、もっと、ぎゅっと～私に限り無い愛を～

4.彼女がさらわれる⁈

…その後、やっと身支度を始めた私達。
大谷さんは、コーヒーだけを飲み、先に行くと言って、家を出た。

仕事に関しては、手を抜かない人だから、毎日その日のうちに全て終わらせているはずなのに。なんで、早く出社したのか。

…それから遅れる事30分。
私も会社に出社。

「おはようございます」
「おはよう、矢沢さん」
…オフィスの中には、杉下さんしか姿が無かった。

「杉下さんお1人ですか？」
「え？…うん、そうだけど？なんで？」

「…いえ、別に」
私は鞄を置くと、デスクに座り、書類を出し仕事を始めた。

…大谷さん、出社したはずなのに、なんでいないの？

仕事を始めるも、なかなか集中出来ない。

「…おはよ、矢沢」
「…」

「…矢沢？」
「…ぁ、おはようございます。澤田さん」
声をかけられていることにも気づかなかった。