SELF ~本当の自分~
「進路指導のことでも、柚だけが進路が決まらないからって、北原先生困ってるし……」
「……」
言葉を出そうにも、れのんの表情を見ると、とても発せない。
「柚は北原先生が心配してるのを知っているんでしょ?ずるいよ、先生の厚意を知ってて、知らないふりするなんて」
切なくて、今にも崩れだしそうな涙目。
ほんのり赤く染まった桃色のほっぺ。
北原先生の話をする親友の顔は、
私の知らない『恋する乙女』の顔だった。