SELF ~本当の自分~
学校から家まで約30分。
ただでさえ、歩く速さが遅いのに、足取りが重くて、門限なんて、普通に破ってた。
玄関にはお母さんが鬼のような形相で立っていた。
「もう門限過ぎてるじゃない!部活、そんなにかかるんなら、もうやめなさい!
受験生なのよ!?」
ヒステリックに叫ぶお母さんの声は、ちゃんと耳に届いてるはずなのに、放課後のことが忘れられなくて。
「うるさいな……」
ぼんやり聞いてたら、つい口走っちゃった。
「うるさく言われたくないなら、早く帰ってきて勉強したらいいでしょ!!」
いちいち大声で言わなくてもいいのに。
「絵なんて描いてるから、勉強も疎かになるのよ!」