かたつむり
口笛とバス停
口笛とバス停1
みんなが気分が良い時に
鼻唄を唄ってしまうように
夕日があまりにも綺麗だったから
好きな洋楽を口笛で唄った。
その日の夕日はブラッドオレンジだった。
(コンビニに行こう)
そう思って私はまっすぐ歩く
真正面にある店は二人の老夫婦の営む
店だった。
「だった。」っていうのは
今私が行こうとしてるコンビニのせいで
お客さんがみんなそっちの方に
行っちゃってお客さんが減っちゃって
営業できなくなっちゃったんだ
野菜とかお菓子とか魚とか売ってる
店だった。
冬だからかわからないけど一層寂しく見えた。
その店の突き当たりを右にまがって
バス停のベンチを通り過ぎようとした。
「下手な口笛だね」
いきなりの低いその声が
私の口笛を止めた。