偽装シンデレラ~キスの続きはオフィスの外で~
他の人には決して自分のペースを崩さないのに、稜真さんの前ではペースが狂ってばかり。
いや違う…濱部家の人達全員に狂わされていた。

私達は適当に店に入り、ショッピングを楽しむ。

多くの日本人観光客とすれ違う。ここはハワイだと言うのに、日本だと勘違いしてしまうほどだ。

「あ…俺、トイレ行ってくる」

「いいですけど・・・」

「じゃここで待ってろよ」

「はい」

稜真さんはお手洗いへと向かって行った。
私は彼の言う通りその場でジッと立って待つ。
飼い主の命令に素直に従う飼い犬のよう。

「あの・・・」

私と同じガイドブックを持つ若いカップルが私に話しかけてきた。

「このショップに行くにはどう行けばいいですか?」

「え、あ・・・」

女性が私にガイドブックを見せて行き方を訊いた。

「あ・・・」

ショップ名を見て、先ほど入った雑貨店だとわかった。

私は口頭で説明するよりも案内したほうが早いと思ってカップルを店まで案内した。
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