偽装シンデレラ~キスの続きはオフィスの外で~
「おーい!!奈那子」

その場に立ち尽くし、右往左往していると稜真さんが大声で私の名前を呼んだ。

「お前…何やってんだよ!?」

「見知らぬカップルに店を訊かれて…その…案内してあげたら…」

「あのなぁー…迷子になるなら…余計なコトをするな」

「・・・すいません」

私は呆れた表情の稜真さんに謝った。


「全く…お前ってしっかりしてそうで…抜けた所があるな」

「すいません」

「別にけなしてるワケじゃない。そう言う所、可愛いぜ」

稜真さんは私の肩を抱いて自分の腕にそっと引き寄せた。

私の頬が稜真さんの上腕筋にあたる。。少し汗ばんだ彼の腕の体温が心地よく思えた。

自身の頬にも熱が集まり、赤くなる。


「顔赤いぞ」

「これは…別に…暑いだけです」

「素直になれよな」

「私はいつでも素直です」

この結婚はいつかは解けてしまう魔法のよう。

でも、私は稜真さんをスキになり始めていた。

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