偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
会長は色々と先回りして、世話を焼いてくれる。

会長は私達が偽装結婚だと全く知らない。
挙式時は30年前に飛行事故で亡くなられた夫の濱部透真会長の遺影を抱き締めて感激で号泣していた。
会長にとって稜真さんは亡き夫に似てるコトもあって拓真さんよりも可愛がられた孫。


そして、私も稜真さんの亡くなった姉・彩名さんに似ていると言われている。

「ここが新しい病室!!?」

弥英子の見舞いに行くと小児病棟には姿がなかった。

濱部社長の秘書・麻生永遠(アソウトワ)さんの案内で弥英子の新しい病室に足を運んだ。

「気に入りませんか?」

「いえ・・・その・・・」

麻生さんは私の戸惑う姿にクスリと笑った。

弥英子の病室はVIPの人達が入院しそうな特別病棟の一角にあった。


「ここの病室って高額ですよね」

「貴方は社長のご子息・稜真さんの妻。金銭面のコトは一切気にする必要は御座いません」

それって…濱部社長が全額負担してくれるってコトよね。

心が罪悪感で苛まれる。






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