偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
「貴方は社長にとって家族同然。そう遠慮する必要有りませんよ」

麻生さんは優しいテノールの声で濱部社長の厚意に気おくれする私を諭す。

―――――家族同然。

その言葉が私を戸惑わせる。


麻生さんは重厚な引き扉をノックした。

「どなたですか?」

中から聞えるのはお母さんの声。

「秘書の麻生です」

「どうぞ、お入り下さい」

麻生さんは扉を引いて、私を先に病室に入れてくれた。


「お姉ちゃん!!」

ホテルのスイートルームのような広い空間とゴージャスな内装。


「地道様、お嬢様をお連れしました」

「ありがとうございます。麻生さん」

「家族水入らずの方が良いでしょう。私は外でお待ちしております」

麻生さんは部屋には入らず、廊下で待機。




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