偽装シンデレラ~キスの続きはオフィスの外で~
稜真さんはおにぎりを一口齧るとカップ麺を啜った。
伏し目がちになった彼の瞳。
瞳を縁取る睫毛の長さが女性のように長い。
稜真さんは中性的な顔でオンナらしい顔立ち。
「稜真さんは濱部会長に似てるんですよね」
「ん、あ…爺ちゃんのコトか?」
「はい」
「俺は別に似てると思ったコトないけど…大体、爺ちゃんが亡くなった後に生まれたから…爺ちゃんを知らないんだ」
「・・・」
「姉貴も爺ちゃんを知らない。知ってる兄貴も3歳位だったから…あんまり記憶にないらしい」
「そうなんだ・・・」
私も母から訊かされた。マレーシアのクアラルンプール空港発アジア航空機603便に乗り、オーストラリアのパースを目指した。しかし、603便は何だかのトラブルが生じ、太平洋上に消えてしまったとか。
乗員乗客233名と共に出張で搭乗していた稜真さんの祖父・濱部透真会長と栗原さんの祖父である秘書の栗原洋貴さんは行方不明となった。
30年経った今も…未だに233名の遺体、飛行機の残骸すらも発見されていない。
しかし、二人の生存は絶望視されて遺体が無いまま、告別式が行われた。
「爺ちゃんが亡くなったのは父さんが社長に就任して…4年目だと言っていた。一時、『星凛堂』がピンチなったことがあってね…苦労したと母さんが言ってたよ。そんな時に生まれたのが姉貴だったんだ」
「へぇー」
「心臓の弱かった姉貴は生まれた途端から大手術を受けてね。それでも、頑張って…父さんはそんな赤ちゃんなのに大きな困難に立ち向かう姉貴を見て、自分も頑張ろうと思って踏ん張ったようだ。父さんにとって…姉貴は特別なんだ」
伏し目がちになった彼の瞳。
瞳を縁取る睫毛の長さが女性のように長い。
稜真さんは中性的な顔でオンナらしい顔立ち。
「稜真さんは濱部会長に似てるんですよね」
「ん、あ…爺ちゃんのコトか?」
「はい」
「俺は別に似てると思ったコトないけど…大体、爺ちゃんが亡くなった後に生まれたから…爺ちゃんを知らないんだ」
「・・・」
「姉貴も爺ちゃんを知らない。知ってる兄貴も3歳位だったから…あんまり記憶にないらしい」
「そうなんだ・・・」
私も母から訊かされた。マレーシアのクアラルンプール空港発アジア航空機603便に乗り、オーストラリアのパースを目指した。しかし、603便は何だかのトラブルが生じ、太平洋上に消えてしまったとか。
乗員乗客233名と共に出張で搭乗していた稜真さんの祖父・濱部透真会長と栗原さんの祖父である秘書の栗原洋貴さんは行方不明となった。
30年経った今も…未だに233名の遺体、飛行機の残骸すらも発見されていない。
しかし、二人の生存は絶望視されて遺体が無いまま、告別式が行われた。
「爺ちゃんが亡くなったのは父さんが社長に就任して…4年目だと言っていた。一時、『星凛堂』がピンチなったことがあってね…苦労したと母さんが言ってたよ。そんな時に生まれたのが姉貴だったんだ」
「へぇー」
「心臓の弱かった姉貴は生まれた途端から大手術を受けてね。それでも、頑張って…父さんはそんな赤ちゃんなのに大きな困難に立ち向かう姉貴を見て、自分も頑張ろうと思って踏ん張ったようだ。父さんにとって…姉貴は特別なんだ」