偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
「神の御前で嘘を付くなんて…神に対する冒涜だ」

「これには色々とワケがありまして・・・」

「ワケね・・・」

相馬先生は呆れ気味に吐き捨てて、椅子に腰を下ろす。

「私はこれで失礼します…」

私は相馬先生に背を向けてドア方向に歩こうと一歩踏み出した。

「待ってよ。奈那子さん」

相馬先生が私を呼び止めた。

「辰真さんに偽装結婚だってバラしたら、どうなると思う?」

「それは困ります!!」

私は振り返り、相馬先生と目を合わせた。

「濱部社長は私と稜真さんとの結婚をとっても喜んでいます」

「君たちの結婚は濱部家にとって大変喜ばしいコトだ」

「…なら、このまま…見過ごしては頂けないでしょうか?相馬先生」

「タダで?」

「相馬先生は何がお望みですか?」

「望み?俺は君が欲しい」

「そ、相馬先生!!?」

「柚希でいい・・・」

「今夜、店で待ってるよ。カノンちゃん」

「私…店は・・・」

「俺は君の作った水割りが飲みたい。約束破ったら、俺は辰真さんにすべてを話すから…元々稜真と辰真さんの仲は良くない。辰真さんはまっすぐな人。きっと稜真のコトを許さないだろう」

ハワイ滞在中、二人を見ていたけど…互いに余所余所しかった。

相馬先生は私の知らない二人の仲たがいの事情を知っているんだ。






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