偽装シンデレラ~キスの続きはオフィスの外で~
奈那子は死んだ姉貴の代わり身じゃないぞ!!

俺は営業部フロアに戻ろうとエレベーターに乗り込んだ。

「頭が痛い…」

柾貴が出て行って、昨日から奈那子と二人で住み始めた。

表向きは夫婦だけど、それは偽装。

今更ながら、その事実が俺には凄く重苦しく、悩ましい。

目は合わせて、話はするけど…

キスすらできなくなっていた。今度、キスしちゃえば、俺はオトコだし、それ以上のコトもシたくなる。
だから、歯止めをつけようとキスするのも止めた。

「頭が痛い…」

「今日、健康相談の日らしいですよ」
隣のデスクでパソコンを弄る香取が呟く。

「健康相談?」


健康には自信ある俺。
一度も産業医のお世話になったコトはない。


「インフルエンザ流行してますし、診て貰ったらどうですか?濱部部長」

「相談で診察じゃないだろ?」

まぁ―引継ぎも終わったし、これと言って俺には仕事がなかった。



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