偽装シンデレラ~キスの続きはオフィスの外で~
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「来たぞ!!」

俺は親父のスキなヴィンテージ物のブルゴーニュ産ワインを手土産に奈那子と邸宅を訪問した。

「いらっしゃい。待っていたわ」

「今日は俺達だけ?兄貴夫婦も来てるの?」

「今日は貴方達二人だけよ」

「そっか・・・兄貴が居ると色々と訊かれるから…安心した」

「こんにちは」

俺と母さんが会話を弾ませていると奈那子が遠慮がちに挨拶をして来る。

「こんにちは、奈那子さん。二人とも上がって」

母さんは俺達用にと来客用のブランドのスリッパを二足並べて置いた。

「お邪魔します・・・」

奈那子はまだまだ慣れないのか緊張した表情で母さんにペコリと頭を下げ、ハーフブーツを脱ぐ。

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