偽装シンデレラ~キスの続きはオフィスの外で~
父さんはリビングの皮張りソファに座って経済新聞を読んでいた。

「来たか…稜真に奈那子さん」
父さんは老眼鏡を外し、嬉しそうに俺達を見つめる。

「はい、これ・・・」

「何だ?」

「奈那子、渡してやれ」

「でも・・・」

俺は奈那子に持っていたワインボトルの入った紙袋を手渡す。

奈那子は小走りで父さんの歩み寄り、紙袋を渡した。

「どうぞ。稜真さんと私からの手土産です。飲んで下さい」

「ありがとう・・・」
父さんは瞳を細めて満面の笑顔で礼を言った。


「稜真さんが選んだんだから…自分で渡せばいいのに・・・」

「いいの。俺から貰うよりも奈那子から貰った方が父さんは嬉しいから…」



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