偽装シンデレラ～続きはオフィスの外で～

待つコト３０分…

父さんは額の汗を拭いながらリビングに戻って来た。

「貴方…汗までかいて何をしていたの？」

「掃除をしていたんだ。適当にするつもりが…彼方此方気になってしまって…待たせてすまなかった。奈那子さん」
「私にお気遣いなく…濱部社長」
「綺麗になったらしいぞ。奈那子行こうか？」

「稜真お前の部屋じゃないだろ！！？私が案内する。奈那子さん、私に付いて来なさい」

「はい」

奈那子は返事をして腰を上げた。
父さん、次に奈那子、そして俺と母さんと４人で書斎に向かった。
一番陽当たりの良く中庭の芝生が見える部屋。

扉を開けると最初に見えるのは壁一面を埋め尽くす本棚。
分厚い本ばかりが整然と並べられている。

広さは二十畳ぐらいのフローリングでイタリア製の応接ソファとダークブラウンのプレジデントデスクが重厚な存在感を醸し出していた。

社長としての書斎としては相応しい佇まいの部屋だった。

「これが…彩名の未来の肖像画だ」