偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
私の目から見れば、二人の関係は十分修復されていて、良好だと思った。

「仲直り出来たように見えましたが…」

「そうだな。奈那子が居てくれたから…父さんも俺に対して優しい態度が取れるようになったんだよ。ありがとう…奈那子」

「私は何も…」

稜真さんは涙の拭いたハンカチを見つめ、口許には安堵の笑みを見せる。


「稜真さん…」

「このハンカチ…洗って返すよ」

「洗う?と言っても…洗濯機は共同ですよ」

「俺達…一緒に住んでるんだったな…」

「私は洗いますから…貸してください」

「じゃ任せるよ」

稜真さんは私にハンカチを返した。


「今夜は疲れたし、寝ようか?」

「あ、はい・・・」

その台詞に私の頬が赤く染まった。

「何??お前…俺と一緒に寝る気か?」

「いいえ、違います。違います…」

「そう…連呼しなくても…まぁ―いいや。じゃ先におやすみ」

稜真さんは晴れ晴れした顔で腰を上げた。




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