偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
二人は不満げだったが、私はひと目で乙女チックな内装を気に入る。

「奈那子だけ、随分と楽しそうだな」

「はい、一応女の子ですので…可愛いのはスキです」

「ふうん。でも、俺の部屋をこんな乙女チックにするのは反対だ」

私はいつかが出て行く居候の身。言われなくても判っていますと反論しそうだったが、喉の奥で言葉を噛み潰した。

「稜真…コーヒー淹れようか?地道さんも来て」

「あ、はい」

栗原さんは先に給湯室に向かう。
私はコンパスの差で栗原さんの高速歩きに付いて行けず、小走りで彼の背中を追い駆けた。


「コーヒーを頼む」

「わかりました…」




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