偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
3人で悩んでも、会長の関係が拗れないアイデアは浮かばないだろう。

私はフレーバーコーヒーを飲み終えて重い腰を上げた。

「やはり…私が会長と掛け合って来ます」

「一人で大丈夫か?」

「大丈夫ですよ」

「行ってきます!」
心配そうに見守る稜真さんの顔には優しさが滲み出ていた。

彼の妻としての役回りを精一杯演じてあげたい。

例え、形だけとしても…自分自身のキモチに素直でありたいのだ。

私は毛足の短い淡いグレーのカーペットが敷き詰められた廊下を歩いて会長室へと足を運ぶ。




< 172 / 210 >

この作品をシェア

pagetop