偽装シンデレラ～続きはオフィスの外で～

《１６》朝帰り

稜真side－

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俺は自室に入り、引き出しに仕舞った婚姻届を眺める。

婆ちゃんから婚姻届を預かった柾貴が区役所には提出せず、こっそりと俺にくれた。

表向き、奈那子は濱部奈那子を名乗っているが。

俺達はまだ…赤の他人だ。

『離婚する時は円満に別れたい』


俺はそう言って、奈那子に偽装結婚を持ちかけた。

俺と奈那子は互いに望みを叶えた。もう一緒に居る理由はないかもしれない。


俺の婚姻届を持つ手が震える。


―――――しんどい。

―――――苦しい。

そして切なすぎる。