偽装シンデレラ~キスの続きはオフィスの外で~
「奈那子さんとキモチちゃんと訊いたのか?」

「何を訊くんだ?俺は奈那子に嫌われているんだぞ」

「本当にそう思ってるの?」

「違うのか?」

「…自分で訊けよ」

柾貴はそう吐き捨て、テーブルに水の入ったグラスを置いた。

「お前が訊けないなら、直接俺が訊いてやろうか?稜真」

「拓真さん貴方が出ると余計に話がややこしくなりますから…ここは当人達に任せて方がいいですよ」

「ちっ、つまんねぇの」
兄貴は舌打ちして残念そうに呟く。

「自分で訊けと言われても…」

「店のアドレスと電話番号をメモに書きますから…自分の目で確かめて下さい」

「今から行けと言うのか?俺は酔いつぶれているんだぞ!」

「それは稜真の自由…ホステス姿の奈那子さん…彼女…オフィスでは地味ですが、夜の奈那子さんはそれはそれは妖艶で、奈那子さん目当ての常連客も多いとか…人気あるんだよ。ちなみに彼女の源氏名はカノンちゃん」

「・・・」

俺は水を一気飲みして、腰を上げた。

「俺も付いて行こうかな?」

「兄貴は来なくていい!!そうだ…父さん達には内緒にしておいてくれよ!!」

「見返りになしには内緒に出来ないな…」

「わかった…仕方がない…取引しよう・・・」



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