偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
《LAST》二度目の求婚

奈那子side-

荷物をまとめて部屋を出たのはいいが、お母さん達の元には行けない。

私が頼った先はママの部屋だった。
ママは店の近くのマンションで一人暮らしをしていた。

「カノン…ちゃん?」

柚希さんの計らいで病院で一晩入院して部屋で養生していた。
ママ、突然訪問して来た私を快く迎えてくれた。
「ママ…大丈夫?」

「相馬先生のおかげで体調はいいわ。でも…インフルエンザ伝染ったら困るでしょ?カノンちゃん」

「私、健康には自信ありますから…伝染らないと思います」

「何かあったの?」

「…主人と喧嘩したと言うか…部屋を出て来ちゃって…私…何でもしますから…ここにおいて下さい」

「・・・わかったわ」

「ありがとうございます」

ママは詳しい事情を訊かなかった。
私は初めて店の面接に来た時もそうだった。

ママは履歴書を見ずに水商売初心者の私を採用してくれた。



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