偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
どんな顔をして稜真さんに挨拶すればいいんだろうか?

こんなキモチを味わうのは久し振りだった。

「早いな。奈那子」

稜真さんの開口一番は他愛もない言葉。

「あ、おはようございます」

「おはよう」

稜真さんはキッチンに立つ私のそばに近づく。

「もう少しで朝食できますから…椅子に座って待っていて…」

稜真さんは言葉を紡ぎ終わるのを待たず、私の背中に抱き付き、頬に軽くチュッとキスをした。

「り、稜真さん!?」

「俺達も兄貴達のようにラブラブしようぜ♥」

「そ、それは・・・」

「俺達はもう偽装結婚じゃないだろ?」

「偽装結婚の方が良かったかな?私…ベタベタされるのは苦手です」

「そうなの?マジで!!?」

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