偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
《3》突然の婚約

奈那子side-

きっと昨日の部長の『偽装結婚』は冗談だ。

私は何度も心に言い聞かせて出社する。

いつもの日常。

いつもの部長。

いつもの私。

朝礼を終えて業務開始だ。


皆に知れ渡っている様子もなく安心して、溜まった書類を整理していく。


「おーい。地道」

濱部部長が総務課フロアに姿を現した。


「何ですか?濱部部長」

「蛍光灯が切れたようだ」

濱部部長の手には切れた蛍光灯。

「内線で伝えて頂ければ、取り換えに伺いますよ」

蛍光灯を受け取り、デスクに置いた。

「恋人として地道の顔が見たかったんだ」


「部長…」
私の顔がみるみる強張っていく。

周囲の視線が私達に集中する。

「結婚決まったし、俺達の仲をヒミツにする必要もないだろ?」

「濱部部長!!?」

私は椅子を立って彼を隣の倉庫に強制連行した。



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