偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
私は途中で仕事を放り出して、栗原さんと一緒に総務課フロアを出た。

「地道さんがまさか…あの稜真と結婚とは」

エレベーターホールに来ると

栗原さんはプライベートの顔を見せる。


「部長から訊いたの?」

「俺が君を推薦したんだよ」

「推薦!?」

「…でも、まさか…君とあろう人が…自分の人生を稜真に委ねるなんて」

「私にも色々と事情が…」

「君の家は母子家庭だったな。確か歳の離れた妹は心臓病とか」

「栗原さんがどうして御存知なんですか?」

「知りたい?」

「いいえ」

「稜真は多分…何も知らないと思う」

「来たよ」

栗原さんは私の家が金銭的に苦しいコトもご存知かもしれない。

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