偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
私達は目の前の金属の箱に乗り込んで真っ直ぐに最上階を目指す。

「君は金銭の為、稜真は社長の椅子の為…結婚する」
栗原さんはやはりご存知だった。

「社長の椅子?」

「美古会長が結婚しないと社長の椅子には座らせないと稜真を脅したんだ」

濱部部長の切羽詰った表情の意味が判った。

「兄の拓真(タクマ)は『星凛堂』の副社長に就任した。でも、稜真はまだ部長。内心焦るキモチもあるのかな?」

「でも、それは年の差もあるし、別に焦る必要など」

「俺も必要は無いと思うよ」

「今朝、部長が総務部フロアに来て社員全員に私との結婚宣言をしました」

「善は急げか・・・」

栗原さんははっと大笑いした。


「私にしてみれば…はた迷惑な話です」

「めでたい話だし…いいじゃん」



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