偽装シンデレラ~キスの続きはオフィスの外で~
アフターは稜真さんと新橋に足を運んだ。

前回は立ち飲み屋。
今夜はサラリーマン達が集う大衆居酒屋。
イタリアンレストランにはいつ連れて行って貰えるだろうか?

私は恨めしそうに目の前の稜真さんを見つめる。

「このタコわさび美味いぞ。奈那子」

「そうですか…」

昨夜飲み過ぎた私はウーロン茶を飲む。

「まだ…二日位酔いか?」
「いえ」

相馬先生は紳士だったが、稜真さんの前で泥酔すれば間違えなく知らぬ間に襲われてしまうだろう。
彼には隙を見せてはいけない。

「何だか…けん制されているな。俺…お前に何かしたか?」

「…したじゃないですか…」

「何を?」

「何って…」

周囲は見ていないと思うが、恥かしくて言葉には出来なかった。

「確かにキスはしたけど…それ以上はしてない」

稜真さんは平然と言い放ち、私の反応を面白そうに眺める。

「本当に性格悪いですね…稜真さん」



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