偽装シンデレラ~キスの続きはオフィスの外で~
「それよりも…早くミーティングを始めましょう」

「そうだな」
私達は雑談を止めて、本題に入った。

「稜真さんのお兄さんの名前は確か…」

「濱部拓真(ハマベタクマ)32歳…奥さんは伊集院敦司元総理のご令嬢・小陽(コハル)さん」

お兄さんの奥様は元総理のご令嬢。一般庶民の私とは話が合うのだろうか?

「ハッキリ言いますが、私の両親には何の肩書きもありません」

「お前の両親は健在か?父親の仕事は?家族構成は?兄弟はいるのか?」
稜真さんの質問攻めに戸惑いながらも一つ一つ丁寧に答えた。


「父は7年前に亡くなりました。家族構成は母と妹が居ます」

「奈々子の父親は亡くなられたのか…じゃ挨拶もしやすいな。母親だけなら反対される心配もない」

栗原さんの言う通り稜真さんは何も知らなかった。

「妹の名前は?」

「名前は弥英子。14歳。生まれながら心臓病で手術と入退院を繰り返しています」

「心臓病?」

「はい…」

「そうか・・・」

稜真さんは上唇を噛んで、考え込む仕草をする。

「稜真さん?」

「どこの病院に入院しているんだ?」

「清和会総合病院です」

「清和会??じゃ柚希さんが主治医?」

「そうですけど・・・」

「柚希さんが主治医か・・・」

「稜真さんと相馬先生はお知り合いですか?」

「まぁな」




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