偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
クリスマスも終わり、街からイルミネーションが消えて一気に年の瀬となる。

「緊張するな」

俺は奈那子を愛車のアウディの助手席に乗せて、妹の弥英子ちゃんが入院する清和会総合病院に向かった。

柚希さんが居ると思うと行きたくないキモチに駆られて来る。

柚希さんと会うのは…兄貴の結婚披露宴以来。

彼に会うと脳裏が過去のトラウマを思い出し、罪悪感で心の中が満たされる。

病院のすぐそばにある駐車場へと入った。駐車場所を見つけ、バックで入り、ギアをパーキングにして、サイドブレーキをかけて車を停めた。


自然と盛大な溜息が漏れ、沈鬱なキモチになる。


「稜真さん…お疲れですか?」

「別に…」

「本当に正月の家族でのハワイ旅行…同行しないといけないんですか?」

「あ…あれか…当然だ。今回の家族旅行はお前が主役だからな」

俺達濱部家は毎年、正月はハワイで新年を迎えていた。
芸能人でもないのにハワイで過ごすのが恒例行事なのだ。でも、今回は違う。
俺の妻となる奈那子も一緒にハワイに同行するのだ。

それはさておき、俺は奈那子の母親と妹に挨拶しに行かなきゃ。




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