偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
車内の外に出ると冷気が頬を容赦なく撫でる。

「さむっ・・・」

俺は着ていたコートの襟を立てて首許の寒さを凌ぐ。
奈那子も首許のマフラーを巻き直していた。

「行くぞ」

「はい」

「緊張してます?稜真さん」

「まぁな」

俺も奈那子の家族に嘘を付くのは申し訳ないキモチになった。

「あの時の奈那子のキモチが判る気がする」

「悪い気がするでしょ?なら、やめましょうか?」

「それはダメだ。俺は絶対に社長になる!!そして…奈那子を・・・」

「私を…?」

奈那子は首を傾げて俺の口許を見つめる。

「行くぞ!!」

続きの言葉を曖昧にして先に歩き出した。


「待って下さい。稜真さん」

灰色の空から粉雪が落ちて来た。

「夜は雪になるって言ってましたから…」
奈那子は足を止めて、空を見上げ、雪を嬉しそうに見つめる。

俺も舞い戻り、奈那子の肩を抱き頬にキスをした。

「隙あり」

「稜真さん!!?」

「俺に無防備な姿を晒す奈那子が悪い」


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