悪魔の諸事情。
「小川〜、悪い。今日、遊べなくなった」
……その後。
おれは小川に謝り、柚美の待つ公園に行こうと教室を出た。
急ぎ足でそこに向かうと、4時になる5分前に公園に着いて、だけど柚美は、すでにそこにいた。
……どう、しようか。
柚美の後ろで足を止め、片手でポケットに忍ばせていたナイフを握り、おれは気配を消してただじっと柚美の後ろ姿を見つめていた。
気配を消していたから気付かれるわけがないって、そう思っていたのに、柚美は唐突に振り返った。
「中澤君。」
声をかけてきた、と思った次の瞬間、パシッと空気を切る音がし、カランと音を立てて、おれの持っていたナイフは叩き落とされていた。