悪魔の諸事情。
おれに構わず、柚美は話し始める。
“話聞いて”
彼女の最期の願いを叶えるべく、おれはじっと耳を傾ける。
「超能力、って、あたし、人の思いが分かっちゃうの。
だから、中澤君があたしを殺そうとしてたことなんて、最初からわかってた。
今日だって、きっと中澤君はあたしを殺す為に呼び出したんでしょ。だけど、違うって、思いたい自分もどこかにいて……
けどね、そんな淡い期待してここに来たんじゃない。
あたし、中澤君になら殺されてもいいかなって、そう思って、だから来たんだよ」
柚美は、自嘲気味に笑った。
「バカだよね、あたし。自分を殺そうって人を好きになるなんて。
……やみよ君。
好きだよ」