悪魔の諸事情。

おれに構わず、柚美は話し始める。

“話聞いて”

彼女の最期の願いを叶えるべく、おれはじっと耳を傾ける。


「超能力、って、あたし、人の思いが分かっちゃうの。
だから、中澤君があたしを殺そうとしてたことなんて、最初からわかってた。

今日だって、きっと中澤君はあたしを殺す為に呼び出したんでしょ。だけど、違うって、思いたい自分もどこかにいて……

けどね、そんな淡い期待してここに来たんじゃない。

あたし、中澤君になら殺されてもいいかなって、そう思って、だから来たんだよ」


柚美は、自嘲気味に笑った。

「バカだよね、あたし。自分を殺そうって人を好きになるなんて。


……やみよ君。

好きだよ」

< 13 / 34 >

この作品をシェア

pagetop