悪魔の諸事情。
天使たち
どれくらい、そうしていただろう。
ふいに、柚美が身動ぎした。
おれはそっと柚美を離し、代わりに手を握る。
ホームステイ先の悪魔委員会委員が、おれたちに近づいてきていた。
「暗黒魔闇夜。昇格試験、落第。
そして。犯してはならぬことをした。よって魔界を追放する。
魔界から最も遠い場所──天界の、天使協会でこれから働いてもらおう」
今までのおれなら、それは屈辱でしかなかっただろう。
だけど、今は。
柚美と離れることがただただ苦痛で、……おれは、ぎゅっと強く、柚美の手を握りしめた。