悪魔の諸事情。
ふたりは声を合わせて言った。

おれは、どういうことか分からなくて、ただふたりを見つめるばかりだった。


「あのね、」
「天使協会は、」

「人間は、入ることはできないの。」
「生きた人間は入れないの。」

「悪魔委員会委員は、」
「それを知っているけれど、」

「まるで一緒に行けるようなことを言って、」


「「時々恋した悪魔をこっちに送ってくるんだよ」」



……恋。

悪魔は、その心を、重罪と決めている。

相手を騙し、孤独に生きる悪魔は、相手を思いやる心がいっぱいの、愛しい気持ちの溢れるような、そんな恋は正反対の存在で、敵も同然だからだ。


だから奴らは、片方を天使協会へと送り、もう会えない、そんな目にあわせるのだ。


< 23 / 34 >

この作品をシェア

pagetop