悪魔の諸事情。
さて、笹木柚美というのは、本当に変な奴だった。


まず彼女には、友達というものがいないようだった。

だけど、1人でも平気だという雰囲気を纏っていた。
実際、平気なのだろう。それは悪魔なら普通だが、人間にしては、珍しい。


そして、彼女は抜群に絵が上手かった。

周りの人間が黒板に書かれた数列を必死で写している間、彼女はノートにひたすら絵を書いていた。


おれがふっと覗き込むと、休み時間の終わりに席に着く人間たちの様子をじっと観察しているおれの姿が描かれていて、思わずおれは赤くなった。

まさか、おれも観察されてたとは……。



他にも柚美は、クラスメートに教師、何でも描いていた。


ひとつ、描きかけの絵に、さぁっと斜めの線が走り、乱暴に消されている絵があった。

斜線の下には、誰か人間が描かれていたようだったが、それ以上は何も判らなかった。



あぁ……彼女を殺すには、一体どうすればいいだろうか?


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