お堅い男子は好きですか?~二人の幼なじみと甘々な恋~
「起きろ、雪菜」
誰かが私の名前を呼ぶ。
「雪菜」
誰かが肩を揺する。
「んんんっ…」
心地いい眠りを妨げるその行為にのがれようとするため、雪菜は寝返りをうった。
「起きろ」
(またきこえてくるこの声は、トリか…)
昨日、あんなことがあったのに起こしに来てくれるなんて、ありがたいなあ
やっぱりあんなことがあっても羽鳥の声を聞くと落ち着く私は現金なやつだなあ、と思う
そう思ったが、雪菜に強い眠気が再びおそった。
布団をおもむろにたぐりよせた。
寝かせてほしい…
日差しがさんさん部屋に入って来ているにもかかわらず、なかなか起きない雪菜に羽鳥はしびれを切らした。
「雪菜………起きないと、抱くけど…?」
「!?!?!?!?!?!?!?!?」
雪菜はその言葉を聞き、飛び起きた。
羽鳥は至近距離まで近づいており、ベッドにのりだしていた。
冗談で言っているのだと思ったが、羽鳥は制服のネクタイに手をかけ、ほどこうとしていた。
「お、おはよう」
雪菜がこんな状況にもかかわらず、マヌケにもあいさつをする。
「ちっ、起きたか」
羽鳥は意地の悪い笑みを浮かべた。
そして羽鳥はほどきかけたネクタイを再びむすぶ。