お堅い男子は好きですか?~二人の幼なじみと甘々な恋~





「あぁ、悪い!」


羽鳥は思い切って雪菜から体を離し、手を引っ張り、立たせる。
(お、俺はなんで緊張してるんだ…?)

女子が必要以上に接近してくるのは、慣れている。
なのに雪菜には緊張してしまった。

(ずっと一緒にいる幼なじみなのに)

…俺の周りに集まってくる女子は、みんな一緒の「顔」に見える。


そうみえるようになったのは、俺が中3の時初めての彼女が出来て、
それを馨に自慢したくて馨の部屋に突撃し、馨に自慢していた時のことだ。。

一通り羽鳥は馨に彼女のことを自慢すると、馨にふーん、と一蹴(いっしゅう)された。
馨にとっては特に関心のないことだったらしい。

馨は足を組んで、椅子に座わり、おまけに腕くみをした。

”羽鳥は、その子と、どうして付き合おうと思ったわけ?”
…高1だった少し幼い顔をしていた、馨に言われた。


”喋ったことないけど、いい子だし、可愛いし、クラスででモテてるし”
(今考えても、浅はかな理由だったなと思う。)

”トリはその女の子と、喋ったことないんだ?”



羽鳥は無言だった。
その無言を肯定だと受け取った馨は、少し驚いたあと意地の悪い笑みを浮かべて言った。



”きっとそれは、お前の顔だけに惚れているんだろ”
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