お堅い男子は好きですか?~二人の幼なじみと甘々な恋~


二人は、帰るときも、終始無言だった。


だが、雪菜の心のなかは、動揺であふれかえっていた。



(聞きたいことは、沢山ある。分からないことは、沢山ある。)

―――けど、自分の気持ちが一番わからない。
なぜ羽鳥からのキスを拒まず、受け入れたのか。

羽鳥と雪菜が住んでいるのは、比較的田舎の方だ。
電車のなかで、手を繋いでいても

この時間帯、乗っている人がほとんどいないため、恥ずかしくなかった。



雪菜は夕陽(ゆうひ)を浴び、電車に揺られながら、羽鳥に握られている手の感覚を感じる。


羽鳥は、今何を考えているのだろう
それを察したくて、顔を見たいと思うが

キスをしたという事実を思い出して、
きっと恥ずかしくなってしまって挙動不審になるに違いないので
雪菜は視線を落としたままにした。






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