ダーリンは財閥
拓哉がいなくなってからの三年はあっという間に過ぎようとしていた。

一週間後に拓哉が帰国すると会社中で大騒ぎだった。

しかも結婚発表パーティーも開かれると皆ワクワクしてた。

その日私は仕事も早く終わり久しぶりにショッピングしながら帰宅した。

家の近くの公園のベンチで私は星空を見ていた。

《結婚発表パーティーかぁ。
彼女とやっぱり付き合ってたのね》

私は重い腰をあげ家に向かった。
見覚えある車が止まっていた。

「愛さん?」

「お疲れ様です。
奥様」

とお辞儀をした。

「息子のパーティーの招待状を持ってきたの。
必ずいらして」

「分かりました」

私は行く気はなかった。

お母さんの車が見えなくなったのと同時に涙が溢れた。

部屋に着いても涙は止まらなかった。

次の日会社に着くと皆は結婚発表の事で大盛り上がりだった。

《招待状迄送りつけてどこまで惨めにしたいわけぇ》

しか拓哉にはなかった。

仕事中も周りにキツク当たるのが分かった。

何もかもうまくいかない日だった
帰宅して招待状を破り捨てた。

私は久々に一人で飲みに出た。

マスターは私の機嫌の悪さを察知したらしくカクテルはアルコールはほとんど少なめだった。

「マスター私酔いたいの強いの頂戴」

「今の愛が飲む酒は全て無駄だ」
「無駄ってどういう事よ」

「愛良く聞きなさい。
お酒に逃げるのは良くない。
彼と何かあったならぶつかりなさい。
お酒は何の解決にもならないよ」
とあるカクテルを渡された。

飲んだ瞬間酸っぱくて涙が溢れてきた。

マスターに

「泣きたい時は我慢せず泣くんだ愛」

と頭を撫でられた。

私はカクテルを飲みながら涙が止まらなかった。
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