君にKiss 【短編】

『い、痛いっ!離して…』

「うるさい!少し黙れ。」

大柄な男は
私を黙らせようと
手で口をふさごうとした。

私はその手に噛み付く。


「いてっ!何しやがる!」


男は私を自分の方へ向かせると
大きく手を振りかぶった。

殴られる……
そう思った瞬間
後ろから声が聞こえた。


「やめろっ!花梨に手を出すな」


その声に男はビクッとし
上げていた腕を下ろした。
そして私を掴んでいた手も
静かに離す。


「花梨大丈夫か?」


そこには心配そうに
私の顔を見つめる光輝がいた。

私は一気に力が抜け
膝から崩れ落ちる。


「花梨!」


崩れ落ちる私を
光輝は力強く受け止めた。

私の意識はそこで途切れた。


       *
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