君にKiss 【短編】
『ホントに…光輝なの…』
私は見違えた光輝の姿を
じっと見つめていた。
「花梨、待たせてごめん。
迎えに来たよ。」
光輝はあの頃と
変わらない声で笑顔で
私にゆっくり近づいて来る。
そして…
私をぎゅっと抱きしめた。
なつかしい光輝の温もり…
「やっぱり落ち着く…」
耳元でそう囁くと
そっと身体を離した。
『光輝…なんでここに…』
私の頬に涙が伝う。
それを優しく光輝は拭った。
「オレの話し聞いてくれる?」
少し首を傾け私を見る。
私はコクンと首を振った。
「オレ、花梨と出会った頃
すごく色々な事があって
何もかも嫌になってた。
帰る場所も無くてベンチに
座ってたら、花梨が声かけて
くれて…
嫌な事から逃げ出したくて
ダメ元で花梨にここに置いてくれって頼んだんだ。
いいよって言われた時は
びっくりしたけどね。」
光輝は私の頬を
愛おしそうに触れながら
アハハと笑った。
*