君にKiss 【短編】
毎日同じ風景だった私の部屋に
いつもと違う風景が加わった。

あの日雨の中倒れた彼を
何とか自分の部屋まで運び
熱がひどかった彼を
三日三晩看病した。

今私の目の前で
私の作った料理を
おいしそうにほお張っている。


「ごちそうさま…でした。」


初めて彼の声を聞く。
色白でキレイな顔だちには
あまり似合わない
少し低い声だった。

彼はご飯つぶひとつ残さず
キレイに食べ尽くした。

満足そうにしている彼に
私はお茶を出す。


「あっ、ありがとう…」


ペコリと頭を下げ微笑む彼。

その笑顔に私の心臓は
ドキッと跳ね上がる。


『あの…私、勝手にあなたを
自分の部屋へ運んでしまって…』


今更ながら
大胆な行動をしたと
ドキドキしながら
彼の表情をうかがう。


       *
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