君にKiss 【短編】
私は光輝について
名前と歳しか知らなかった。

何となく
聞かないほうがいい気がした。
この関係を続けたいのなら。

ただ時々見せる
彼の寂しそうな表情が
私の胸を締め付けた。


昼間私は会社に行っていて
その間光輝が
何をしているのかは
まったく謎だった。

そもそもなぜあの日
光輝は公園で
ずぶ濡れになっていたかも
私は知らない…。


でも……

光輝のおかげで
私はつまらない毎日から
抜け出すことが出来た。

けど……

楽しければ楽しいほど
不安がよぎる。

この生活はいつまで続くのか…

ずっと光輝が
ここにいる訳がない。
今は何か理由があって
いるだけだから…。

私はなるべくその事を
考えないように過ごした。


       *
< 6 / 19 >

この作品をシェア

pagetop