〜ΒΘЯDЕR X〜ボーダークロス
冬哉の見たものは公園内でスノーボードをする集団だった。

いまや市民権を得たスノーボードはバートンスノーボード創立者
『Jake Burton』(ジェイク・バートン)の手によって産まれた。

…いくつものテストを重ね少しづつスノーボードギアと共に様々なスノーボーダーと競技、スタイルが生まれた…

…その永き歴史と共に歩んで来た彼らスノーボーダー達は決まってこのセリフを言う…

『雪と…板があればどこでも遊べる』と…



冬哉は公園内で立ち尽くしていた。

「…アレを後ろで攻めるのかよ!?」

真っ赤なウェアを纏った男が叫ぶ。

「ここはアカヘーの独壇場やなぁ〜」

…別の男も叫んでいる。

アカヘーと呼ばれる男はまだ納得がいかない顔でまた階段を駆け上がっていく。

…冬哉はその異様な光景にレッスンに行くのも忘れて魅入っていた。

「アレは……スノボー?…でも何で階段の手摺りで滑っているんだろう!?」

…冬哉にとってスノーボードはテレビでしか観たことが無く半円形の筒状を飛ぶハーフパイプ、数人でレースのボーダークロスなどオリンピックで何となく観ていた記憶だけが残っている…

だがそんな固定された記憶が一瞬の光景で、まるでハンマーで頭を撃たれたかの様に粉々に打ち砕されていく感覚が全身を駆け巡った。

…そしてまた一人滑り出す。
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